抵当権消滅請求とは何ですか?
はい、少し、長くなりますが、
「抵当権消滅請求」とは、所有権を取得した第三者(第三取得者)が、
その不動産の価格を自分で見積もり、その金額を抵当権者に支払う
ことで抵当権を消滅させる制度です。
通常の取引では、「抵当権」がついたままの不動産を購入するケースは
ほとんどありません。抵当権がついたままで、買主名義での所有権移転
をしても、先の日付で登記されている抵当権が競売申立てをして、実行された場合に
新しい買受人に対抗することができません。
このような不安定な状態を解消するための手段として、「抵当権消滅請求」
という手続きにより、取得した不動産を消滅させ、確定的に所有権を手に
入れることができます。
今まで、「滌除…てきじょ」というあまり、聞きなれない制度が
ありましたが、平成15年の民法改正で「滌除」の制度が「抵当権消滅請求」という
制度に変わりました。
抵当権消滅請求は、競売による差押登記がなされるまでできます。
抵当権消滅請求の対象者は、登記がある担保権者が中心ですが、
抵当権者のほかに先取特権者および不動産質権者、さらに本登記だけ
では、なく仮登記権利者も対象になります。
(ただし、仮登記担保の権利者はふくまれません。)
抵当権消滅請求の通知は、担保権者全員にする必要があります。
通知漏れがあった場合には無効になります。
抵当権消滅請求を受けた者が第三取得者の申出額に不満な場合には、
競売の申立てができます。
競売によるほうが申出額よりも高い金額で売れる見込みがあれば、
(抵当権者としては、競売申立をしたほうが有利です。)
また、見込み外れで申出額よりも高い金額で売れなかったとしても、
抵当権者自身が不動産を買う義務はありません。(以前の「滌除」の
制度では購入義務が生じてしまいます。)
抵当権者が消滅請求を承諾しないで競売申立をした場合には、
第三取得者はその不動産を守るために、競売で買受けることになります。