抵当権者との対抗関係の判断はどのようになりますか?
はい、競売の場合、抵当権の実行の時の一般原則として、
抵当権者とその不動産に権利を持っている者との
対抗関係は、時間的な優先関係により、決まります。
例えば、Sさんが自分の所有する鶴田町の土地(更地)を担保として、
T銀行からお金を借り、抵当権を設定したとします。
①T銀行への抵当権設定後、SさんはYさんに鶴田町の更地の土地を
貸し、その後、Sさんが金を返さないので、T銀行は担保として取った
鶴田町の土地を競売にかけました。
T銀行は、Sさんの土地を更地状態での価値を把握しています。
競売手続きでは、あとから土地を借りたYさんの権利はないもの
として扱われます。
こういった場合に法律では、T銀行の抵当権に対してYさんの賃借権
は「対抗できません」といいます。
上記のように、競売でSさんの土地を買ったKさんは、抵当権者である
T銀行の地位を引き継ぎ、KさんはYさんに土地を明渡してくれと
いえます。
このような、借地人がいることで土地の価値は下がりますが、競売において
は、あくまでもT銀行がお金を貸し抵当権を設定した時点での更地状態
をもとに手続きを進めます。
*実際の手続きでは、現実にYさんが鶴田町の土地を占有している事実は
無視できないので、更地価格から減価を行なわれます。
②逆に、YさんがT銀行の抵当権設定より前に土地を借りてた場合、
Yさんの賃借権は、T銀行の抵当権に優先するので、競売でKさん
が買受けた後でも、Yさんはそのまま使用し続けることができます。
冒頭の抵当権者とその不動産に対する権利を持っている者との対抗関係は、
時間的な優先関係(登記の日付)により決するとは上記の①と②の例です。