生前贈与・不動産・売却:贈与された不動産を売るときの注意点とお金の話
「親から土地を贈与されたが、すぐに売却しても大丈夫?」「生前贈与と相続、結局どちらが得なの?」――そうお悩みの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、生前贈与で取得した不動産を売却するときに知っておくべきポイントや費用、税金の仕組みをわかりやすく解説します。賢く準備して、後悔のない売却につなげましょう。
・生前贈与・不動産・売却:譲渡された不動産を売るときの基本 ・譲渡された不動産 売却時の注意点 ・相続時精算課税制度で取得した土地 売却のポイント ・生前贈与・不動産・売却:発生する税金と費用の種類 ・譲渡所得とは? ・贈与後すぐに売却した場合のリスク ・生前贈与・不動産・売却:相続との比較と判断基準 ・生前贈与と相続、どちらが得? ・相続時のメリット ・生前贈与が有効なケース ・生前贈与・不動産・売却:発生する費用とその他の注意点 ・売却時にかかる主な費用 ・タダで譲渡することは可能か? ・生前贈与・不動産・売却:まとめ |
生前贈与・不動産・売却:譲渡された不動産を売るときの基本
不動産を贈与された場合、その時点での時価をもとに贈与税が課税されます。では、その不動産を売却したときには、どのような税金が発生するのでしょうか?
譲渡された不動産 売却時の注意点
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売却時には譲渡所得税が発生します。
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譲渡所得の計算に使う取得費は、贈与者の取得費を引き継ぎます(タダでもらってもゼロにはならない)。
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贈与後すぐの売却でも、贈与時の評価額ではなく、取得時の原価+譲渡費用で計算されます。
このため、贈与された不動産を売ると、思った以上の譲渡所得税が発生するケースが少なくありません。たとえば、評価額が低くても実勢価格で売れた場合、差額が大きくなり課税対象が拡大する点に注意が必要です。
また、贈与後すぐに売却した場合、「節税目的の仮装行為」とみなされるリスクもあり、税務署から否認される恐れもあります。
相続時精算課税制度で取得した土地 売却のポイント
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この制度を利用した場合も、取得費は贈与者のものを引き継ぐ形になります。
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相続時精算課税を選ぶと、110万円の基礎控除が使えなくなります。
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将来相続で調整できるものの、売却時にかかる税金に注意が必要です。
この制度は、相続時の税負担軽減には効果的ですが、早期売却を想定している場合にはかえって不利になる可能性があります。贈与時には売却予定時期を考慮して選択しましょう。
生前贈与・不動産・売却:発生する税金と費用の種類
譲渡所得とは?
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売却価格 -(取得費+譲渡費用)= 譲渡所得
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譲渡所得に対して **所得税15%+住民税5%+復興特別所得税2.1%**が課されます
例)贈与で取得した土地を2,000万円で売却した場合:
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贈与者の取得費が500万円
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譲渡費用が100万円
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譲渡所得=2,000万円-(500+100)=1,400万円
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税金:約300万円超
このように、売却時の課税負担がかなり重くなることがあります。
贈与後すぐに売却した場合のリスク
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形式的な節税に見られ、税務署から否認されるリスクがあります
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名義変更後、短期間で売却した場合、「実質的に親が売った」と判断される可能性も
時間をおいて管理実績をつくることも重要です。また、贈与された不動産が長期保有(5年以上)に該当しない場合、短期譲渡として高い税率が適用される点にも注意が必要です。
生前贈与・不動産・売却:相続との比較と判断基準
生前贈与と相続、どちらが得?
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生前贈与:贈与税が高額、ただし認知症リスクや争続対策には有効
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相続:小規模宅地の特例、取得費加算制度など税制メリットが多い
贈与にはタイミングや対象の選定、評価額の見極めが必要です。一方で、相続には被相続人の死亡を起点とした制限やリスクがあります。
相続時のメリット
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相続税評価額が実勢価格より低いケースが多く、節税効果が高い
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不動産を相続してすぐに売却する場合、取得費加算が使える可能性もあり
加えて、配偶者控除や2次相続への配慮など、制度面での柔軟性があります。
生前贈与が有効なケース
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認知症になる前に名義を変えたい
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不動産収益を子に移したい
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共有名義にしておきたい
「相続対策」としてだけでなく、「将来の資産活用戦略」としての意味合いも含めて検討しましょう。
生前贈与・不動産・売却:発生する費用とその他の注意点
売却時にかかる主な費用
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仲介手数料(売却価格の約3%+6万円)
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譲渡所得税
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印紙税、登記費用(司法書士依頼の場合)
また、マンションなどで管理費・修繕積立金の未納がある場合、それを清算しておく必要もあります。
タダで譲渡することは可能か?
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可能だが贈与税が発生します
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形式的なタダでも、評価額が1,000万円なら贈与税は約180万円にも
贈与前後の計画が必要です。年間110万円の基礎控除の範囲内で少しずつ贈与するなど、複数年にわたる節税スキームの構築が有効です。
外部リンク:国税庁|不動産の👉 譲渡所得と👉 贈与税の違いについて
内部リンク:👉 生前贈与・👉 不動産の売却 👉 相談なら|エステート丙(ひのえ)
生前贈与・不動産・売却:まとめ
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贈与された不動産の売却には、贈与税+譲渡所得税の二重課税に近い負担がある
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名義変更後すぐの売却には、税務リスクもある
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生前贈与と相続を比較し、目的に応じて慎重に判断することが大切
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不動産の種類、立地、将来の活用予定も含めて、包括的に判断を
判断に迷ったら、不動産に強い税理士やコンサルタントへの相談が安心です。
将来のトラブルや後悔を避け、最善の選択ができるようしっかりと情報を集めて備えましょう。
エステート丙(ひのえ)since 2014 